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2022.04.20

本当の学びは「なぜ?」から始まる くふうマスター 尾木さんに聞く 学びのくふう(第2弾 前編)

仕事や学び、暮らしなどを上手に、そして楽しそうにこなしている「くふうマスター」に、トリオ・ザ・くふうがその「くふう」を聞きに行く『コクヨのくふう研究室』。2回目は尾木直樹さんをお迎えしました! 前篇では、尾木さんによる学びの「くふう」についてうかがいます。

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尾木 直樹 さん

1947年滋賀県生まれ。
早稲田大学卒業後、私立高校、東京都公立中学校の教師として22年、その後大学教員に転身して22年、合計44年間教壇に立つ。46歳で教育評論家として活動を開始して以降、テレビ番組のコメンテーターなど幅広く活躍。その穏やかな物腰から“尾木ママ”の愛称で知られ、情報・バラエティ・教育番組のほか、全国各地への講演活動にも精力的に取り組んでいる。教鞭をとっていた法政大学を2017年3月に定年退官し、現在は名誉教授。

#コクヨのくふう研究室#大人のまなび

こんにちは! トリオ・ザ・くふうです!
仕事や学び、暮らしなどを上手に、そして楽しそうにこなしている「くふうマスター」に、トリオ・ザ・くふうがその「くふう」を聞きに行く『コクヨのくふう研究室』。2回目は尾木直樹さんをお迎えしました! 前篇では、尾木さんによる学びの「くふう」についてうかがいます。

「勉強」と「学び」は違う

うーくん:最初に自己紹介をお願いします!

尾木:教育評論家・法政大学名誉教授で、皆さんからは「尾木ママ」と呼ばれています尾木直樹です。よろしくお願いします。

ふっさん:いきなりですが尾木先生、勉強と学びって何が違うんじゃろう?

尾木:勉強と学び、似ているようでまったく違うんですね。勉強っていうのは漢字からも分かるように「勉めて強いる」ということで、辞書にも「そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身を入れるの意」と書かれています。つまり、勉強はある程度強制されるものであって、訓練だとか、丸暗記するだとか、そういう辛く苦しいイメージが強いのではないでしょうか。

学びというのは諸説ありますが、語源的に言うと「まねぶ」つまり、「まねをする」ということ。辞書的に言えば「教わる通りに、本を読んだり、物事を考えたり、技芸を覚えたりする」ことなのですが、僕が考える学びには、喜びが伴っていなければなりません。学ぶことは学校の中で完結するものではなく、新しい知識や技術を自ら学び続け、新たに取り入れ、自らを成長・発達させていくものなのです。学びは楽しいことだから、大人になっても好きなことや新しいことを学ぶわけですね。特に大人になってからの学びというのは、自由で、開放的で、成長、発達、喜びっていうのが感じられるっていう点で、いわゆる学校の勉強とは全然違うと思います。

くーちゃん:尾木先生が最近、学び始められたものってありますか?

尾木:やっぱりSNS関係かしらね。ごめんなさいね、コクヨのこと言わなきゃいけないのに。

コクヨのくふう研究室,尾木直樹氏,尾木ママ,00002.jpgくーちゃん:SNS! 尾木先生のインスタみてます!

尾木:あら、ありがとね〜! 大学を定年退官してから今年で5年ぐらい経つんですね。そうすると若い人たちと時事問題について議論したり、雑談を通じて若者文化を知る機会が減っていってしまって、次第に「現場感覚」がなくなってきたんですよ。教育評論家としては若者の感覚というか、考えていることや流行っていることを知っておきたくて、自ら積極的に若者文化の中に入るようにしてるんです。

だから、僕、TikTokもやるし、インスタもやっています。TikTokでは再生回数の多い動画だと270万回ぐらいあって、コメントも1本の動画に6,000ぐらいかな、うわって来て本当に驚きました! コメントのほとんどが中高生からです。TikTokを始めて2年ほど経ちますが、どういうことを言うとコメントが多くなるかとか、どういう展開や組み立てがいいかとか、そういうことを試行錯誤しながら日々楽しく学んでいます。1分間で何が言えるかっていうのは毎回大きな悩みで、通常講義や講演会は70分ですし、最初の頃はそんな短い時間で何を伝えられるんだろうと思いましたが、やってみると1分間って、ものすごい語れるんですよ!

変わる教育の潮流

ふっさん:ふむふむ〜。では、これから新しく学んでいきたいと思うものはありますかな?

尾木:これは明確にありまして、専門の教育のことなんですけど、今、世界各国で教育改革が急速に進んでいるんです

コクヨのくふう研究室,尾木直樹氏,尾木ママ,00003.jpg僕の専門は「臨床教育学」といって、現場に入っていき、課題を見つけ、調査・研究して処方箋を出すところまでをやるのですが、世界の教育がどういうふうに変わってきたのか、そしてこの先どういうふうになっていくのかっていうのを、現地に入ってヒアリングしたり、視察を通して学びたいんです。例えば、教育熱心で熾烈な受験競争社会だったシンガポールは、2019年に抜本的な教育改革を行うと発表し、それまでの暗記型、詰め込み型の学力形成というのは間違っていた、AI時代においてはAIを使いこなせる創造力や調整力といった人間的なスキルこそがこれからの学力なんだと、アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)を重視する方向に舵を切りました。IT化・AI化も進む現地の学校に視察に行きたいと思ってたらコロナになっちゃったんです。だから、海外へ自由に行けるようになったらまず、すぐにでもシンガポールには視察に行きたいと思っています。やっぱり海外に出ないと日本が見えないんです。

学びを継続するためには「小目標」を

うーくん:はやくコロナが収まるといいですね。では次の質問です。学びを継続するためにいちばん大切なこと、教えてください!

尾木:学びを継続するためには、いきなり大きな目標を達成しようとするから途中で挫折して続かないんであって、小さな目標、今日は何しようかなとか、例えば午前中はテキストを10ページ読もうとか、机の上を片付けちゃおうとか、そういうふうに小目標を持って、それに取り組むとわりと達成できるんですよ

達成感が人間にとっては重要で、「あっ、出来た!」てなるとテンションも上がります。自分ってやればできるんだみたいな、そういう自己肯定感が培われると次に進んでいくエネルギーになります。小目標が達成できたら次は、中目標に挑むと。で、最終的には長期的な目標、大目標をどう実現するかっていう風に段階的に目標を設定していけば、自ずと学びは継続出来ます。我慢が足りないからだとか、努力不足だなどと自分を責めずに、まずは小目標を持つっていうのが心理的にも作戦的にもすごくいいと思いますね。

気が付いたことはすぐに書く

くーちゃん:ありがとうございます! ところで尾木先生、ノートにこだわりありますか!?

尾木:ノートへのこだわりはすごい持ってますね。基本的にはアナログ派だから、小さいノートはメモを取るのによく使っているの。本の構想をメモしたり、打ち合わせの時やコメントをまとめたりするときなんかにも、すぐにノートにメモしちゃう。スーツのポケットやポシェットに必ず1冊は入れているわね。

コクヨのくふう研究室,尾木直樹氏,尾木ママ,00004.jpgあとは、原稿用紙にはこだわりというか、愛着がありますよね。今朝出掛けに、長年愛用している原稿用紙をみたらコクヨのだったのよー!偶然よ、偶然(笑) 例えば1冊文庫本の執筆を依頼されたときには、コクヨの緑の表紙の原稿用紙を10冊ぐらいどんと買うの。そうするとやる気が出るのね。原稿用紙8冊ぐらい書けば、だいたい1冊分は書けますから。原稿用紙は使い慣れているせいか、原稿だけじゃなくて、来月の目標を書いたり、イラストを描いたりと自由に使っています。

ふっさん:それはもう原稿用紙というより、ノートみたいじゃな〜!

尾木:確かに、ノートとして使うことが圧倒的に多いですね。だから僕の机とかサブデスクだとか、自宅にも職場にも、思いついた時すぐ使えるように、いろんなところに原稿用紙が何冊か置いてあるの。コクヨの原稿用紙は罫線が緑色で非常に目にも優しくていいんです。気持ちが落ち着くんですね。もったいないとか考えずに、ルーズリーフみたいな感じでぴっと破いて、自由な感じで使ってます

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うーくん:自由で最高です! アナログ派の尾木先生、アナログの良さってどういったところだと思いますか?

尾木:デジタルが登場した当初はデジタルのほうがいいんじゃないかっていう説が結構強くなった時期もあるんですね。そのあと、どちらも同じじゃないかっていう時期が出てきました。で、今は明らかにアナログのほうが優位なんです。

コクヨのくふう研究室,尾木直樹氏,尾木ママ,00006.jpg今、MRIなどで脳の動きを可視化することができるようになりましたよね。ある研究では、パソコンでタイピングをしているときは脳の働きは低下していて大して赤くなっていない。けれども、ノートにペンを使って自由にラフ、デッサン、落書きを描いてたり、あるいは手書きでノートをとっていたりするときっていうのは、脳が活性化してもう真っ赤になるんですよ。なんで活性化するかっていうと、ペンで書くときは、体感的にも書いてるっていう実感あるでしょ。

くーちゃん:あります!

尾木:だって、タイピングはこう、指先だけがパチパチパチと動くだけですもんね。スクリーンを見ていなくても入力出来ちゃうわけでしょ。だけども、「書く」っていう行為には、体感性っていうのがあるし、運動性っていうのもある。ちょっと字が跳ねちゃったり、はみ出しちゃったとか。それから感情性もあるんですよ。感情の要素。書くというのはその都度、心が動きますよね。

アナログであることの良さっていうのは、記憶にも残りますし、創造性も高まりますし、手書きは脳への刺激が多いので物事を整理し考えるのをサポートしてくれるということが科学的にも分かってきています。だからアナログ、つまり手書きの習慣はしっかり身につけてくださいね。

本当の学びは「なぜ?」から始まる

ふっさん:手書き派のわしにとっては勇気づけられるお話じゃ! それと、わしの周りにもいるんじゃが、「何を学んだらいいかわからない」という人はどうしたらいいかのう?

尾木:やっぱりこの学ぶっていうのを「お勉強」みたいに捉えちゃってる方が多いと思うんですよ。そうじゃなくて、自分の好きなこととか、どうしてだろうって思うことを調べてみたり、探究してみたり、楽しく自由に学べばいいんです。

例えば、コロナの問題でもいいですよね。そもそもコロナウィルスって何だろう? なぜ変異するんだろう?どうしてパンデミックが起きたんだろう? なんでだろう、どうしてだろう、それをフィンランド語では「ミクシ?」って言うんですが、学力世界一と言われるフィンランドでは発想力や論理力、表現力、批判的思考力などを育むために、学校の先生も親御さんも、子どもたちによく「ミクシ?」と問いかけます。日本人は受験勉強の弊害で、一つの答えを求めたり、暗記するだけで終わってしまいがちですが、グローバル化し、複雑化する社会においては答えが出ない課題が山積しています。だからこそ「なぜ、どうして」を探究していってほしいのです。「ミクシ?」から始まる探究、これが本当の学びだと思います

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学びの価値とは

うーくん:ミクシ? やってみます! 尾木先生にとって、学びの価値ってなんでしょうか。

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尾木:そうですね、学んでいくと、やっぱり世界が見えてきますし、物事を考えるときの視点というか、自分なりの座標軸が幾つか出来てくると思うんですね。「今」は1つのドットっていうか点であって、それを縦軸、横軸、どこに置いてくるかが大切で。やっぱりこれから絶対に必要なのはグローバルな視点と、それから歴史的な視点っていうね、その縦軸、横軸は最低必要だと思うんですけど、そういうのが決まってくると世界が見えてきますよね。そうすると人生が豊かになると思います。

トリオ・ザ・くふう:なるほど〜!

尾木:一歩外へ出たらもう全てが学びですね。あと、対話が重要です。対話というのは自分とは異なる価値観や考えを持つ相手とコミュニケーションをとることであり、対話によって互いを理解し合い、対話によって自分の世界も広がっていきます。対話するのは人間相手でなくても、歴史的な事実と対話するといったことも可能です。学ぶには、対話しなきゃいけないんですよ

くーちゃん:では最後に、学びたい気持ちがある読者の方に、勇気が出るようなメッセージをお願いします!

尾木:欲張らないっていうことがひとつ、大事だと思いますね。それから学びを継続するためには、本当に小さな目標でいいんです。1時間以内でやろうかなと思った課題がちゃんと時間内に終わったり、10個新しい単語を覚えたり、机周りの整理から始めてみるのもいいと思うんですけども、そしたら、いちいちちゃんと自分を認めてあげるっていうか、自分で自分のことをいっぱい褒めてあげてください!

家庭でも、お互いにちゃんと認め合って、頑張ってるねって、すごいねとか、よく出来たね、ありがとうね、といった、やっぱりそういう声が毎日に何十回となく飛び交うような環境づくりっていうのも僕は大事だと思います。大人になってからもみんな学びたいと思っているけど、仕事が忙しかったり、家のことが大変だったりでなかなか時間が取れないと思いますが、これからは生涯学習の時代です。楽しく自由に好きなことをどんどん学んでいきましょう!

ふっさん:ありがとうございました! わしも自由に学ぶぞ〜!

***

くーちゃん:尾木先生の学びのくふう、なんだかとても勇気づけられました!

次回は「中編」として、尾木先生にコクヨの商品を紹介して、感想をうかがっていきます!

00009.jpgではまた、次のくふうで!

中編:本や新聞と「対話」する くふうマスター 尾木さんお気に入りの一品は?

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「コクヨのくふう研究室」発足のお知らせ

「コクヨのくふう研究室」は様々なジャンルで活躍する方々を「くふうマスター」としてお迎えし、日頃の活動や、日々の生活の中で行っていること、その中にある「くふう」をご紹介することで、日常をちょっとずつ豊かにするコーナーです。

「コクヨのくふう研究室」のコンセプトやキャラクター「トリオ・ザ・くふう」はこちらでご紹介しています。

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