2026年2月5日
親子で書く力を伸ばす作文教室エッセンス~親子の対話で子どものやる気は伸びる
ノンフィクション作家 神山典士の “やる気応援” コラム #1
「文章を書くのは楽しい!」と、北海道天塩町の作文教室に参加した小4のゆいちゃんが書いてくれました。「親子で書く作文教室」から生まれてきたその作品には、こう書かれています。
「「さいしょに一番おもしろかったこと、印象にのこったことを書く」。私はびっくりした。今まで作文はあったことを順番に書かなきゃいけないと思っていたけれど、そうでもないみたい。(中略)私は作文を書いていてはじめて楽しいと思った」
ゆいちゃんは講座の中で私が語った、「作文の書き方」に反応してくれたのです。
その隣では、お母さんの彩さんがやはり原稿用紙に向かってこう書いていました。
「「子どものために」と思い参加した作文教室だったけれど、私も書きたい!という気持ちが強くなっていった。こうなりたい自分の選択肢はたくさんあるのに、40歳になったいまも一つを選び取ることができずに何物にもなれていない自分。まず書くことからはじめてみよう」
まさかお母さんがこんな素敵な文章を書いてくださるとは!! 素晴らしい親子の作品が生まれてきました。
大切なのはこのあとです。家に帰ってから、この母子はお互いに書いた作文を読みあって、いろいろと対話を繰り返したに違いありません。普段は上から目線で「書きなさい」と言っているお母さんが一緒に作文を書いてくれた。これは子どもにとっては嬉しいこと。親もまた、子どもの気持ちがわかる。「親子の対話」はさまざまに弾んだことでしょう。
この「対話」の素晴らしさを教えてくれたのは、拙書「ピアノはともだち、辻井伸行の秘密」の読書感想文を書いて2012年に全国コンクールで内閣総理大臣賞に輝いた宮城県の風美さん(当時小5)親子でした。
普通感想文は本のあらすじと感想が繰り返されるものですが、風美ちゃんの感想文ではあらすじはたった2行のみ。冒頭から会った事のない辻井さんとの会話が始まります。
その感想文の素晴らしさに驚いて私が取材に行くと、お母さんはこう教えてくれました。
「うちでは毎日夕食後に4歳年上の兄と風美と私の三人で、同じ本を読んで感想を話し合います。この対話で風美は鍛えられたと思います」
お母さんは子どもと対等な目線で話す。風美ちゃんは4つ上のお兄さんに負けないように意見する。お兄さんは風美ちゃんにもわかるように意見を言う。
この繰り返しの中で、驚いた事に風美ちゃんだけでなくお兄さんも過去に内閣総理大臣賞を受賞したとのこと。この賞はだいたい300万人に一人と言われていますから、二人合わせると約9兆分の1の確率ということになります。対話の力は恐ろしい。
この体験があったから、私は各地で開催する作文教室において、ことに低学年の子には「ぜひ保護者も参加して」と呼びかけています。そこから親子の対話の機会を増やしてほしいからです。
もう一人、私の作文テキスト「親子で書く力をのばす作文教室」を読んだ小5の幸也くんの作文も紹介しましょう。
「この本を読んで(わかったのは)、作文と報告文のちがいは、報告文はただ起こったことを書くだけだけど、作文は心の変化を書くものなんだ、ということです。(中略)この本のおかげで作文が上手にそして好きになったような気がします」
お母さんの手紙も添えられています。
「(前略、この本を読んで)幸也は数ページにわたる大作を書き上げました。これまでとは別人が書いたような出来で、何よりも「作文が好きになりました」の一文に私は痺れました。本当に嬉しい瞬間でした」
ここにあるように、作文の書き方を教わった子どもは「書く醍醐味」に目覚め、「書くことは楽しい」と感じ、書きあがれば「達成感」を感じて「書くことが好きになる」。それを目撃すれば、親も嬉しい。
さらに一緒に作文を書けば、「作文教室に参加して「私もまだまだこれからだ」と前向きな気持ちになれた」(天塩町、彩さん)というように、親の「やる気」も生まれてくる。
宮城県石巻の作文教室に参加したお母さんからは、こんな作文も生まれてきました。
「かすかな雨音をBGMにし、鉛筆の芯の香りを懐かしみ(中略)文字を綴る時間をもててとても有意義な時間だった。また作文を子どもと書いていきます」
作文教室をきっかけに、新しい親子の対話や習慣が生まれてくる。子どもにも親にも、その成長にはこの対話が重要だと痛感しています。
神山典士 | こうやまのりお | ノンフィクション作家、作文指導者

1960年、埼玉県生まれ。信州大学人文学部卒業。
96年「ライオンの夢、コンデ・コマ=前田光世伝」(小学館、現「不敗の格闘王前田光世伝」(祥伝社黄金文庫))にて、第三回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞。2012年「ピアノはともだち、奇跡のピアニスト辻井伸行の秘密」(講談社青い鳥文庫)で青少年読書感想文全国コンクール課題図書選定。14年「佐村河内守事件」報道により第45回大宅壮一ノンフィクション大賞(雑誌部門)、第21回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。
書く力テキスト・小中学生向け「親子で書く力を伸ばす作文教室」(教育報道出版社、アマゾンで発売中)・大人向け「もう恥をかかない文章術」(ポプラ社)
2012年から首都圏各地で子ども作文教室を主宰。15年から朝日カルチャーセンター(新宿校)でエッセイ教室主宰。
書くことが好きになる作文ポータルサイト「ふみふみ」
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