スペシャルインタビュー
2020年6月に「やる気の庭」スペシャルバージョン第一弾として登場したのが、
「うみのふしぎの庭」です。テーマは「海と地球の探求」。
この庭には、子どもたちの興味を惹くような深海生物が描かれていたり、海の環境問題にも触れた解説を 読めたり…。
すごろくのコマを進めることで、深海や海底を探索しているようなワクワクが感じられる仕掛けが、随所にちりばめられています。
「うみのふしぎの庭」を監修をした
JAMSTEC(ジャムステック)って、何をするところ?
「うみのふしぎの庭」を進むことで、子どもたちが自然と海や海底下に広がる地球内部の不思議に出会える。
そんな庭の企画監修をしてくれたのが、「国立研究開発法人海洋研究開発機構」(ジャムステック・JAMSTEC)です。
今回は、「うみのふしぎの庭」の魅力に迫るべく、小学6年の息子と6歳娘の母親である、わたくしライター・江角悠子が、しゅくだいやる気ペン公式キャラクターである「伝説のやる木族」と一緒に、JAMSTECのメンバーにお話を伺いました!
答えてくださったのは、JAMSTEC広報課の吉澤さん、監物さん、中條さん の3人です。インタビューの内容を前編・中編・後編の3回に分けてご紹介します。
ライター江角悠子(以下、江角)
はじめまして、ライターの江角と申します。本日は深海のこと、JAMSTECのことをいろいろ聞かせていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします!
伝説のやる木族
お願いしますっ!
ライター江角
まず最初に気になったのが、JAMSTECとは、一体どういったことをする機関なのかということです。
吉澤さん
一言でいうなら、「海と地球の研究所」でしょうか。
地球の表面の約70%は、海です。
陸上の山や谷、つまり地形については、ほぼ地図に書き起こせていますが、海の底の地図は、まだ全体の2割 しか描けていないといわれています。つまり、この科学の進んだ現代であっても、海の中のほとんどのことはいまだに解明されていない、未知のことだらけなのです。
そんな場所で一体何が起きているのか? JAMSTECではそうした海の謎について調査、研究、解明に取り組んでいます。
たとえば、地震大国日本において、地震が起きた際、現地の海底地形や海底の下の地層がどうなっているのかを調査することがあります。これによって、地震や津波のメカニズムを少しでも解明することができれば、今後の防災に役立つ発見があるかもしれません。
また、地球温暖化についても、海洋環境の変化について研究をすすめることで、このさき地球環境がどう変わっていくのか、より緻密な変動予測をたてることもできるようになっていきます。
そうした、知られざる深海の謎に挑み、理解することで、日本だけではなく人間社会全体、ひいては地球の持続的な発展をリードできるような研究機関となることを目指しているんです。
伝説のやる木族
ひ〜、見ている視点が世界規模!!!すごい!
中條さん
深海とは、一般に光が届かない水深200メートルより深い海の部分のことを指すのですが、10m潜るごとに1気圧ずつ増えていきます。水深6,500メートルにもなれば、地上の約650倍以上もの圧がかかります。つまり地上でいうと、指先に軽自動車1台分の重さを感じるほどの圧力がかかってくるというわけです。
また海の底は、太陽の光も届かない暗黒の世界。電波やレーダーも届かない。そんな環境のため当然、生身の人間は近づくことができません。人間が足を踏み入れられないような過酷な環境で、何が起こっているのか。それを調査するために、無人探査機「かいこう」や有人潜水調査船「しんかい6500」といった、特別なロボットや潜水船などが活躍しており、私はそうした機械を研究・開発するエンジニアとして働いています。
ライター江角
そうなんですね! 魚たちが優雅に泳ぐ海の底に、そんな過酷な環境があるとは知りませんでした…!
監物さん
実は海の底のそのさらに下には、地球そのもの、地殻やマントル、核と呼ばれる部分があり、ここもまだまだ解明されていません。たとえるなら、細い針で穴を開けた程度、ほんの少ししか調査しかできていないんです。
伝説のやる木族
そうなのかぁ、ぜんぜん知らなかった…。
ライター江角
JAMSTECでは、何人くらいの方が働いていらっしゃるのですか?
監物さん
JAMSTECの研究所は、青森や高知、沖縄など日本各地に6ヵ所。私たちのいる本部は横須賀にあります。それぞれ海の科学者や、さきほどの中條のようなエンジニアをはじめ、研究をサポートするスタッフなども働いており、全員合わせると約1,000人ほどです。
ライター江角
研究所は日本各地にあるんですね。そして、そんなにも大勢の方が関わっていらっしゃるとは!
JAMSTECとは何か、そこで何が行われているのか、分かりやすく教えていただきありがとうございました。
次回は、いよいよ「うみのふしぎの庭」の開発裏話や、「ここはぜひ子どもと一緒に見てほしい!」というこだわりポイントに迫ります!