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「うみのふしぎの庭」

スペシャルインタビュー

やるきの庭スペシャルバージョン第1弾「うみのふしぎの庭」を企画監修してくださったJAMSTECのメンバーにお話を伺っています。

「うみのふしぎの庭」スペシャルインタビュー #2

子どもと一緒に海底探検へ
「うみのふしぎの庭」をより楽しむための注目ポイント!

前回は、JAMSTECとはいったいどんなところ?というテーマで話を伺いました。
今回は、いよいよやるきの庭スペシャルバージョン「うみのふしぎの庭」の魅力について迫りたいと思います!

ライター江角

「うみのふしぎの庭」を企画監修するにあたり、皆さんが一番大事にしたことは何ですか?

監物さん

前回お話したように、深海の地形図はまだ全体の2割ほどしか描かれていないといわれています。

お子さんたちには、「うみのふしぎの庭」を通して、未知のことだらけの海底を旅していく「ワクワク感」を楽しんでもらえたらと考えました。

スタート地点となっている施設は、実際の研究所をモチーフにして描いてもらっています。リアルの世界と同じように研究所から出発して、「探求の旅」に出ていくというイメージです。

JAMSTEC横須賀本部
© JAMSTEC

吉澤さん

お子さんたちがマスを進める際には、背景のイラストにもぜひ注目してもらいたいですね。コクヨさんから初めに相談をいただいた際に、たぶん深海探査機といったアイテムをやる気ペンに登場させたいというお話だったんじゃないかなと思ったのですが、せっかく小学生のみなさんに科学技術を紹介できるなら、JAMSTECと一緒に未知の海に出かけて探検するようなストーリーにしたい!とわがままを言わせてもらいました(笑)

アイテムや背景のイラストも深海に向かって一緒に潜っていく気分になれるように、かなりこだわりました(笑)

コクヨさんとも数えきれないくらい、何度も何度もやり取りをして、細かな修正をしてもらって、やっと納得のいく背景となったという経緯があります。

伝説のやる木族

背景にも、そんな思い入れがあったとは!!驚き!

ライター江角

深さごとに色が変わり、また景色も変わっていく様子が描かれていますね。海の底には、火山のようなものもあります。

中條さん

海底火山も描かれていますね。煙突のように突き出しているのは「熱水噴出孔」です。煙のように見えるのは、溶岩などではなく、熱水が吹き出している様子を表わしています。この、吹き出している熱水のイラストも、なるべくリアルに表現してもらいたいと思い、テクスチャーや色の濃さにもこだわって描いてもらいました。

監物さん

海の中は、深さごとに色が変わるだけではなく、そこに生息する生物も変わっていきます。それぞれ深海何メートルあたりには、こんな生物がいるなど、深さに合わせて配置してもらいました。

たとえば、さきほどの熱水噴出孔。そこには、熱水に含まれる化学物質を使って増えていく微生物がいます。それら微生物をエサとしたり、体内に“共生”して微生物から栄養をもらって生きるカイ、カニ、エビなどが集まり、熱水噴出孔付近は深海の中でも、生き物が密集して生息する貴重なエリアとなっています。

背景のイラストには、熱水噴出に群がる「ゴエモンコシオリエビ」や、魚の中で一番深いところにいる「マリアナスネイルフィッシュ」、そして世界で一番深いマリアナ海溝の底にいる「カイコウオオソコエビ」なども描かれています。背景のイラストも、一つひとつ細かく見てもらうと、実は、それぞれそこにしかいない生物が描かれているんです。

カイコウオオソコエビ

カイコウオオソコエビ
© JAMSTEC

ライター江角

そんなところまで、きっちり正確に描かれているとは、奥が深い!子どもたちにもぜひ、そのことに気が付いてもらいたいですね。

監物さん

そうですね。背景のイラストは、位置に対応して、それぞれのマスで説明が表示されるようになっています。イラストと解説を見比べながら、海のふしぎを解き明かしていくイメージです。

深海を進むにつれて、全然聞いたことのない謎な生物や研究に使っている機械、海底のようすが見えてくると思います。解説を通して、これまで見たこともない、知らなかった世界を知っていく楽しさも感じてもらえるといいですね。

ライター江角

そうですね!
途中のマスでゲットできるアイテムも、最後まで徹底して検討されたとか。

吉澤さん

ええ。海のことをより深く知ってもらうには、何をアイテムにすべきか、背景のイラストと同様に、こちらもかなり悩みました。

まずは海の研究にでかけるときに使う道具はなにか、どんな海のふしぎに出会うのか、といった海洋研究のストーリー仕立てにしてアイテム候補を挙げていきました。たくさんの候補の中でアイテムにならなかったものが背景になっているという感じです。

アイテムは、スペシャルアイテムの有人調査船「しんかい2000」を含むと全部で11個あります。

中にはかなりマニアックなアイテムもあり、果たしてそれをゲットした子どもたちが喜んでくれるかどうか、ちょっとドキドキしています(笑)

伝説のやる木族

マニアックなほど、気になるかも!

吉澤さん

地球深部探査船「ちきゅう」や無人探査機「じんべい」などは、まだ分かりやすいかもしれませんが、「しんかいデブリ」「ほっきょくのこおり」あたりになると、ちょっと分かりにくいかもしれませんね(笑)

デブリとは、ゴミのことをいいます。ペットボトルやポリ袋など、私たちの生活からでた大量のゴミが海に流れ出て、海の生き物にも悪影響を及ぼしていることは、ずいぶん前から問題となっています。

また、地球温暖化が進み、北極の氷がとけだしていないかと調べることも、海のことを語る上ではどうしてもみんなに知ってほしいことでした。

さらには、アイテムのひとつに、「なんだかよくわからないもの」を入れたかったんです。わからないことがあるから研究するんだ、という「やる気」を伝えたかったので。

ただ、それをイラスト化していただくのが一番難しかったんじゃないかなと思います。そして完成したのが「みちのせいぶつ」というアイテムです。なんせ海底のことは、私たちでもまだまだ分からないことだらけ。これから新たに見つかるものもたくさんあります。

そんな未知のモノを探求するのは、もしかしたら君たちかもしれない。まだ誰も見たことのないものが、この世界にはあるんだよ。そんなメッセージを込めて、何だかよく分からない「みちのもの」というアイテムも加えています(笑)

ライター江角

そうなんですね!

地球深部探査船「ちきゅう」

地球深部探査船「ちきゅう」
© JAMSTEC / IODP

JAMSTECの皆さんが、こどもたちに伝えたかったこと。それは、まだ誰も見つけていないものを発見する楽しさ、探求する面白さであることが、今回のお話から伝わってきました。そのために「うみのふしぎの庭」には、学びたくなる、知りたくなるきっかけが、随所にちりばめてあるんですね。

親である私も、海については知らないことだらけ!皆さんのお話に、ぐいぐい引き込まれてしまいました。今、息子は「うみのふしぎの庭」のステージを選んで、ちょっとずつコマを進めています「うみのふしぎの庭」の完成までには、実はこんな苦労があったんだよ〜という裏話を、ぜひ教えてあげたいなと思いました。