2026年5月8日

第15回 「下り坂」の先に広がる風景

やる気ペンリーダーが時間外に書くコラム🌱YARUKI OFF(やる気オフ)

このゴールデンウィーク、一冊の本が僕の心に深く突き刺さりました。

角幡唯介著 『43歳頂点論』

冒険家たちはなぜか43歳で命を落とすことが多い、という事実に着目した本です。植村直己や星野道夫といった偉大な先人たちも、この年齢で帰らぬ人となりました。経験に裏打ちされた「高みを目指す意志」が最高潮に達する一方で、体力や気力はゆるやかに下り坂を迎え始める。そのギャップから来る「焦り」が、不運な事故を招くのではないか。そんな説です。

遠に43歳を超えた僕にとって、この話は他人事ではありませんでした。最近感じていた「ある違和感」が、見事に言語化された気がしたからです。

​かつての僕は、より高く、より遠くへ進むことだけを目標にしていました。「世界初」や「業界ナンバーワン」という名の急峻な山を、息を切らして登り続ける。それがプロダクト開発者としての正義であり、生き甲斐だと信じていました。でも今の僕は、一生に一度のエベレストに登り詰めることよりも、川辺で毎週、最高のバーベキューを開催するような世界に、より強く心を惹かれてしまうのです。

​ただ肉を焼くのではありません。毎回、炭の熾(おこ)し方にこだわり、肉の産地を吟味し、その日の風や光に合わせた最高のシチュエーションを整える。繰り返される日常の中に、常に新しい発見や感動を見出し、その質をどこまでも深めていく。この「下り坂の先に広がる風景」のほうが、今の僕にはずっと贅沢で、カッコよく思えるのです。

僕がこれから目指すサービスも、こんな川辺のバーベキューのようなものでありたい。一度きりの熱狂で終わるのではなく、学び続けることの心地よさが、じわじわと身体に染み込んでいくような体験。静かな、でも確かな熱量を皆さんと共有したい。

そんな新しいモチベーションが、ふつふつと湧いてきた連休でした。「下り坂」は、終わりの始まりではなく、新しいフィールドへ飛び出すための、最高にエキサイティングな滑走路なのかもしれないですね。

今週も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。皆さんの「日常」の中にも、新しい火種が見つかりますように。

【今週の気になる言葉】
若さという火は激しく燃えるが、老いという火は、じわじわと身体を芯から温める
(作者不詳)


やる気ペンリーダーが時間外に書くコラム YARUKI OFF(やる気オフ)

「やる気ペンプロジェクト」を立ち上げてから約10年となりました。リーダーとしてジタバタともがく毎日ですが、時の流れはどんどん加速し、ますます先行きが不透明になってきたように感じます。週に一度その激流から離れ、今見えている風景や心がザラッとした出来事などを書いてみたいと思います。すぐに役に立つことはあまりないかもしれませんが、素直に自分の五感に従って、週一回お届けできたらと思います。

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