アフターコロナの「働き方の変化」から「大人の学び」を展望する

2020.07.30

コロナで変わる「社会人のスキル」~1日15分、アウトプット習慣のススメ~

アフターコロナの「働き方の変化」から「大人の学び」を展望する

今回は、ポストコロナで求められる「言語化力」にフォーカスします。特に日本においてビジネスの基盤をなしていたハイコンテクストなコミュニケーション(「空気を読む」コミュニケーション)が難しくなり、ローコンテクストなコミュニケーションの中で仕事を進めざるをえなくなります。この変化に対応するための一つの打ち手として、「1日15分のアウトプット習慣」を提案します。

115分の「アウトプット習慣」をおススメする理由

日本の「テレワーク元年」ともいえる2020年。同じ空間を共有するのが当たり前だった働き方からテレワークへ、スムーズに移行できた人もいれば、すごく苦しんだ人もいました。もしかしたら、今なお苦しんでいる人も、いるかもしれません。

「上司の顔色が分からなくて不安」、「部下の本当の気持ちが見えない」、「同僚の本音が分からない」、「あぁ、あんなこと言っちゃったけど大丈夫だったかな」・・・オンラインミーティングが終わった後にどっと押し寄せる後悔・・・。

・・・「あるある」と頷いてくださる方も多いのではないでしょうか。

前回記事、

コロナで働き方はどう変わる!?そこで求められるスキルとは!?

では、これからの働き方の変化の方向性と、それに伴い必要とされるスキルのご紹介をさせていただきました。

時代が逆戻りしないことが確からしい今、新しいビジネススキルを正しく認識する必要に迫られています。すなわち、「空気を読む」というようなハイコンテクストなコミュニケーションスキルに代わり、自分の意見を、誰にでも分かりやすく、かつ適切な表現で、的確に伝えるローコンテクスト・コミュニケーションスキルの重要性が高まります。すなわち「言語化力」の有無が仕事の効率や質、共に働く人たちとの信頼関係の在り様にも影響するといっても過言ではありません。

というわけで、大人の学びシリーズ第2回目の今回は、具体的にどうやって「言語化力」を高めていくのか。一つの方法をご提案したいと思います。

題して、「一日15分、アウトプット習慣のススメ」。

 

 

なぜアウトプットが大事なのか

今、ご自宅にいる方は、ご自身の本棚の本を眺めてみてください。読んだはずの本がずらっと並んでいると思いますが、その中に書かれていた内容について説明できる本は何冊あるでしょうか?

人間の脳は「重要な情報」を長期記憶として残し、「重要でない情報」は忘れるように作られています。

ここで理解しておく必要があるのは、脳による「重要かどうか」の取捨選択は、自分自身が「重要だ」と感じたことによって行われるのではなく、「一定頻度以上に使用した情報」を「重要だ」として記憶するということです。ここで言う一定頻度とは2週間に3回程度、と言われています。

「読む」「聞く」がインプットで、「話す」「書く」「行動する」がアウトプットとすると、日本人がそれぞれに費やす平均的な時間比率はインプット:アウトプット=7:3。しかしながら、せっかくインプットした情報も、使わなければ自分自身の脳に捨てられてしまうことになります。

インプットした情報の中でも、自分が気になることや、大事だと感じたこと、興味のあることについて、何らかの形でアウトプットする習慣をつけることによって、その情報を「使用する」機会を自ら作り出すことが大事になってきます。

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「なぜそう思ったのか」を言語化する

本の重要な部分に線を引く、気になるフレーズを書き写すのも一種のアウトプットには違いありませんが、「言語化力」を鍛える上でのポイントは「気になったことがなぜ気になったのか」を考えてみること。

つまり自分で自分に質問してみる行為です。意外にもこれだけで、脳は活性化し、必要な情報を集めようとします。それまでの間に脳の中に蓄積されてきたさまざまな情報や経験と組み合わせて「なぜそう思ったのか」を問う。そして書く。

これを繰り返すことで、自分が「気になる」ことが脳にとっても「重要」であると認識されます。また、それはなぜかを言語的に記述しようとすることで、構造化能力が鍛えられます。身近な気づきや、たまたま目にしたことであってもいい、言語化を繰り返す訓練をすることで、「言語化力」が次第に身についてきます。

 

手を使って紙に書くことが効率の良い学びにつながる

今や誰もが何らかのデジタルツールを持つ時代、パソコンでメモを取ったり、スマホの写真をメモ代わりにするのは当然かつ手軽な方法ですが、「脳への情報の定着」を期す上では、実は手で紙に書く方がより効率がいい、という研究が海外の複数の大学で行われ、立証されています()

※プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の共同研究では、「手書きでノートを取る学生のグループ」と「パソコンでノートを取る学生のグループ」を比較した結果、記憶が長期間にわたって定着しやすく、アイデアを思いつきやすいのは「手書き」のグループだった、という結果があります。

必要なのは、自分のお気に入りのノート、ないしメモ帳1冊とペンだけ。

それも1時間も2時間もそれに向き合い続けるのではなく、11テーマ15分程度、日記を書くくらいの軽い気持ちで書く。決して無理のない量に留めておくのが習慣を定着させるコツでもあります。

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テーマはどんなに些細なことでもかまわない

いきなりアウトプットせよって言われても書くことなんてない、と思われる方もいるかもしれません。

書くことは何でも構いません。

もし何か目的があって本を読んだならば、その感想を。ビジネス書の気になるフレーズがあれば、それがなぜ気になったのかを書いてみる。小説で心を揺さぶられたことがあれば、どうして自分はそう感じたのかを書いてみる。漫画が面白ければ、その面白みの正体をちょっとだけ追求してみるのもいいかもしれません。

映画が好きな人は、映画を観た一言感想と、どうしてそう思うのかを言語化してみることもおすすめです。

もしどこかのオンラインセミナーに参加したならば、何か学びがあったか、それはなぜ自分にとって学びだと思ったのかを振り返る。万が一、何も学びがない残念なセミナーだったとしても、なぜ学びがないと思ったのか、書くことはできます。

本も読まず、映画も観ず、イベントが何もなかった一日は、日記的に一日の中で見聞きしたことを書く、でもいいと思います。「今日、彼が来ていたあのTシャツ」が気になればそれでもいいのです。単純に今日一日で一番気になったことについて、それは何か、それはなぜか、を考察してみるだけでも言語化のトレーニングはできます。

 

興味のあることを見つけるきっかけにも

とはいえ、好きでもなければ興味もないことを続けるのは、人間誰だってツライものです。だからこそ、習慣を通じて、自分が興味を持てることを見つけるという目標も並行してやってみましょう。

前回記事でもご紹介した通り、特定の事柄について、話題を豊富にもっていたり、そこから転じて、人とは違う切り口での会話の引き出しをもっているような「コミュニケーションを取りたい人」になることは、新しい働き方の文脈においても役に立ちます。

「大きく変わっていく社会の中で、学び続けなければなりません」と言われ続け、「そんなことは分かっている。分かっちゃいるけど何をしたらいいのかが分からないんだ」と叫びたくなる気持ち、分かります。

今年、本当に大きく働き方・生き方の転換点を迎えたことで、改めて「学び」を広義にとらえなおし、興味を見つける意味も含めて、アウトプット習慣から、やってみませんか?

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参考文献:
・『学びを結果に変えるアウトプット大全』(樺沢紫苑、サンクチュアリ出版、2018年)
・『超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術』(杉野幹人、ダイヤモンド出版、2016年)

 

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